「商標権侵害の判断基準」印刷配布についての国家知的財産権局の通知

商標権侵害の判断基準

  第一条  商標関連法執行の指導業務を強化し、法執行の基準を統一し、法執行の水準を高め、商標専用権の保護を強化するために、「中華人民共和国商標法」(以下商標法という)、「中華人民共和国商標法実施条例」(以下商標法実施条例という)及び関連する法律法規、部門規則に基づき、本基準を制定する。

  第二条  商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案の処理、調査・処分にあたり本基準を適用する。

  第三条  商標権侵害を構成するか否かを判断する場合、通常は、権利侵害の疑いのある行為が商標法の意味上の商標の使用を構成するか否かを判断する必要がある。

  商標の使用とは、商品又は役務の出所を識別するために、商標を商品、商品の包装、容器、役務の提供場所及び取引書類に用い、又は商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いる行為を指す。

  第四条  商標を商品、商品の包装、容器及び商品の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)直接貼付し、刻印し、焼印を押し若しくは織り込むなどの方法で商標を商品、商品の包装、容器、ラベルなどに付し、又は商品に付加する標識、製品説明書、パンフレット、価格表などに使用する。

  (二)商標を、商品販売契約、インボイス、証票、受取書、商品輸出入検査検疫証明書、通関書類などを含む商品の販売と関係のある取引書類に使用する。

  第五条  商標を役務の提供場所及び役務の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)案内小冊子、従業員の服飾、ポスター、メニュー、価格表、名刺、抽選券、文房具、便箋及びその他役務提供の際に使用する関連物品を含め、商標を役務の提供場所に直接使用する。

  (二)商標を役務と関係のある文書資料、例えばインボイス、証票、受取書、送金伝票、役務契約書、修理保守証明書などに使用する。

  第六条  商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)商標を、ラジオ、テレビ、映画、インターネットなどの媒体で使用し、又は公開発行される出版物に使用し、又は屋外広告板、ダイレクトメール若しくはその他の広告媒体に使用する。

  (二)展示会、博覧会で提供する商標を使用した印刷物、展示ブースの写真、出展証明書及びその他の資料を含め、商標を展示会、博覧会で使用する。

  (三)商標をウェブサイト、インスタントメッセンジャー、SNSプラットフォーム、アプリケーションソフトなどの媒体で使用する。

  (四)商標を二次元コードなどの情報媒体で使用する。

  (五)商標を店舗の看板、店内の装飾・設えに使用する。

  第七条  商標の使用であるか否かを判断するにあたっては使用者の主観的意図、使用方法、宣伝方法、業界の慣行、消費者の認知などの要素を総合的に考量しなければならない。

  第八条  商標登録者の許諾を得ていない状況には、許諾を得ていないこと又は許諾された商品若しくは役務の区分、期限、数量を逸脱していることなどが含まれる。

  第九条  同種類の商品とは、権利侵害の疑いのある者が実際に生産販売する商品の名称が他人の登録商標の指定商品の名称と同一の商品、又は、両者の商品名が異なるが機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種の商品だと認識するものを指す。

  同種類の役務とは、権利侵害の疑いのある者が実際に提供する役務の名称が他人の登録商標の指定役務の名称と同一の役務、又は、両者の役務の名称が異なるが役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種類の役務だと認識するものを指す。

  指定商品又は役務の名称とは、「類似の商品及び役務区分表」(以下区分表という)に列挙されている商品又は役務の名称及び区分表に列挙されていないが商標登録において受け入れる商品又は役務の名称を含め、国家知的財産権局が商標登録業務において商品又は役務につき使用する名称を指す。

  第十条  類似の商品とは、機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で一定の共通性を有する商品を指す。

  類似の役務とは、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で一定の共通性を有する役務を指す。

  第十一条  同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標の指定商品又は役務と権利侵害の疑いのある商品又は役務との間で対比を行わなければならない。

  第十二条  権利侵害の疑いのある商品又は役務と他人の登録商標の指定商品又は役務が同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかの判断にあたっては、現行の区分表を参照して認定する。

  区分表に網羅されていない商品については、関連公衆の一般的認識を踏まえ、商品の機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の商品であるかを認定しなければならない。

  区分表に網羅されていない役務については、関連公衆的の一般的認識を踏まえ、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の役務であるかを認定しなければならない。

  第十三条  登録商標と同一の商標とは、権利侵害の疑いのある商標が他人の登録商標と完全に同一であるもの、及び異なっているが視覚効果又は音商標の聴覚認識上ほぼ違いがなく、関連公衆による識別が困難な商標を指す。

  第十四条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標との比較において、登録商標と同一であると認定することができる状況には以下のものが含まれる。

  (一)文字商標が以下に掲げるいずれかに該当する場合。

  1.文字の構成、配列順がすべて同じであるとき。

  2.登録商標の書体、アルファベットの大文字・小文字、文字の縦横の配列を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  3.登録商標における文字、アルファベット、数字などの間の間隔を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  4.登録商標の色彩を変更したものであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  5.登録商標に商品の一般的な名称、図形、型式など、顕著な特徴を欠く内容を加えただけであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  (二)図形商標において、構図の要素、表現形式など視覚上、ほぼ違いがない場合。

  (三)文字・図形の結合商標における文字の構成、図形の外観及びその配列・組合せ方法が同じであり、全体的な視覚上商標にほぼ違いがない場合。

  (四)立体商標における顕著な三次元標識及び顕著な平面要素が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (五)色彩の結合商標において組み合わせた色彩及び配列の方法が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (六)音商標の聴覚認識及び全体的な音楽的イメージが同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (七)その他視覚効果又は聴覚認識上登録商標とほぼ違いがない場合。

  第十五条  登録商標の類似商標とは、権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標を比較して、文字商標の字形、称呼、意味が近似しており、又は図形商標の構図、色、外形が近似しており、又は文字・図形の結合商標における全体的な配列・組合せ方法及び外形が近似しており、又は立体商標の三次元標識の形状及び外形が近似しており、又は色彩の結合商標における色彩又は組合せが近似しており、又は音商標の聴覚認識若しくは全体的な音楽的イメージが近似しているものなどを指す。

  第十六条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標が類似を構成するか否かについては、現行の「商標審査及び審理基準」における商標の類似についての規定を参照して判断する。

  第十七条  商標が同一又は類似であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標と権利侵害の疑いのある商標との間で対比を行わなければならない。

  第十八条  登録商標と同一又は類似の商標の判断に際しては、関連公衆の一般的な注意力及び認知能力を基準とし、隔離的観察、全体対比及び要部対比の方法により認定しなければならない。

  第十九条  商標権侵害の判断において、同種類の商品若しくは同種類の役務につき類似商標を使用し、又は類似の商品若しくは類似の役務につき同一・類似商標を使用している場合は、混同を生じさせやすいか否かについても判断しなければならない。

  第二十条  商標法に規定する混同を生じさせやすい状況には次のものが含まれる。

  (一)関連公衆をして係争商品又は役務は登録商標の権利者が生産又は提供していると認識させるに足りる。

  (二)関連公衆をして係争商品又は役務の提供者と登録商標の権利者には出資、許諾、フランチャイズ又は提携などの関係が存在すると認識させるに足りる。

  第二十一条  商標関連法執行の関係部門は、混同を生じさせやすいか否かを判断するにあたり、以下の要素及び各要素間の相互の影響を総合的に考量しなければならない。

  (一)商標の近似状況。

  (二)商品又は役務の類似情况。

  (三)登録商標の顕著性及び知名度。

  (四)商品又は役務の特色及び商標使用の方法。

  (五)関連公衆の注意及び認知のレベル。

  (六)その他の関連要素。

  第二十二条  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の商品又は役務における他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十三条  同種類の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  同種類の又は類似の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十四条  色彩を指定しない登録商標については、自由に色彩を付すことができるが、他人の登録商標の知名度に便乗することを目的として色彩を付し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標と近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標の知名度が比較的高く、権利侵害の疑いのある者と登録商標の権利者が同じ業種又は関連性の比較的高い業種にあり、かつ、登録商標と同一又は類似のマークを正当な理由なく使用した場合、権利侵害の疑いのある者に他人の登録商標の知名度に便乗する企図があると認定しなければならない。

  第二十五条  完全請負の加工請負の営業活動において、請負人が登録商標の専用権を侵害する商品を使用した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十六条  事業者が商品の販売時に、登録商標の専用権を侵害する商品を販売商品に添えて進呈した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十七条  以下に掲げるいずれかの事由がある場合、商標法第六十条第二項に規定する「登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売した」ケースに該当しない。

  (一)商品仕入れルートが商慣行に合致せず、また、価格が市場価格を明らかに下回る場合。

  (二)帳簿、販売記録などの会計証憑の提供を拒否し、又は会計証憑を粉飾した場合。

  (三)事案発生後に物証を移転・破棄し、又は虚偽の証明書、虚偽の状況を提供した場合。

  (四)法律違反により処分を受けた後、再び同じような状況の法律違反を犯した場合。

  (五)その他、当事者は知っていた又は知るべきであったと認定することができる場合。

  第二十八条  商標法第六十条第二項に規定する「提供者について説明した」とは、権利侵害の疑いのある者がサプライヤーの名称、営業住所、連絡方法などの正確な情報又は手掛かりを自発的に提供することを指す。

  権利侵害の疑いのある者が虚偽の又は事実確認ができない情報を提供したため提供者を見つけることができない場合、「提供者について説明した」とはみなさない。

  第二十九条  権利侵害の疑いのある者が、商標法第六十条第二項に規定する登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売したケースに該当する場合、その権利侵害品について販売停止を命じ、サプライヤーに対し立件、調査・処分を行い、又は事案の情報を管轄権を有する商標関連法執行の関係部門に移送して調査・処分させる。

  販売停止を命じた権利侵害品を権利侵害者が再び販売した場合は、法に基づき調査した上で処分する。

  第三十条  市場の運営者、展示会の主催者、インショップの貸主、電子商取引プラットフォームなどの事業者が管理の職責の履行を怠り、市場における事業者、出展者、テナント、プラットフォーム内の電子商取引事業者が商標権侵害行為を実施したことを知りながら若しくは知るべきであったにもかかわらず制止しなかった場合、又は知らなかったが、商標関連法執行の関係部門が通知した後、若しくは商標の権利者が発効した行政文書、司法文書によって告知した後も、商標権侵害行為を制止するための必要な措置を講じなかった場合、商標法第五十七条第六号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十一条  他人の登録商標と同一又は近似する文字をドメイン名として登録し、かつ、当該ドメイン名により関連商品又は役務の取引を行う電子商取引は、容易に関連公衆を誤認せしめる場合、商標法第五十七条第七号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十二条  商標権侵害事案の調査・処分にあたっては、適法な先行の権利を保護しなければならない。

  意匠権、著作物の著作権により他人の登録商標専用権について抗弁する場合において、登録商標の出願日が意匠出願日又は証拠により証明される当該著作権の著作物の創作完了日より先であるとき、商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案に対し調査・処分を行うことができる。

  第三十三条  商標法第五十九条第三項に規定する「一定の影響を有する商標」とは、国内で先行使用され一定の範囲内において関連公衆に知られている未登録商標を指す。

  一定の影響を有する商標の認定においては、当該商標の使用継続期間、販売量、取扱高、広告宣伝などの要素を考量して総合的に判断しなければならない。

  使用者に以下に掲げる事由がある場合、当初の使用範囲における使用継続とはみなさない。

  (一)当該商標を使用する具体的な商品又は役務の追加。

  (二)当該商標の図形、文字、色彩、構造、記入方法などの内容の変更。ただし、他人の登録商標と区別する目的で行う変更は除く。

  (三)当初の使用範囲を逸脱するその他の事由。

  第三十四条  商標法第六十条第二項に規定する「商標権侵害行為を五年以内に二回以上実施した」とは、同じ当事者が商標関連法執行の関係部門、人民法院により他人の登録商標の専用権を侵害したと認定された行政処罰又は判決が発効した日から五年以内に、また商標権侵害行為を実施したことを指す。

  第三十五条  国家知的財産権局で審理中又は人民法院で訴訟中の以下に掲げる事案については、商標法第六十二条第三項の「中断」に関する規定を適用することができる。

  (一)登録商標が無効審判中である場合。

  (二)登録商標が、更新申請手続の期間中であったり、存続期間満了後の更新申請手続の猶予期間中である場合。

  (三)登録商標の権利帰属についてその他の紛争が存在する場合。

  第三十六条  商標権侵害事案の調査・処分の過程において、商標関連法執行の関係部門は権利者に対し、係争商品は権利者が生産した又は権利者が生産を許諾した商品であるか否かについて書面による弁別意見を出すよう要求することができる。権利者はその弁別意見につき相応の法的責任を負わなければならない。

  商標関連法執行の関係部門は弁別人の弁別意見を出す主体資格及び弁別意見の真実性について審査しなければならない。権利侵害の疑いのある者が当該弁別意見を覆す反対証拠を有しない場合、商標関連法執行の関係部門は当該弁別意見を証拠として採用する。

  第三十七条  本基準については国家知的財産権局が解釈を担当する。

  第三十八条  本基準は公布日より施行する。


「※当和訳資料は、北京市聯力法律事務所が中国語の法令を和訳したものです。
北京市聯力法律事務所は、和訳の正確性について努めておりますが、当和訳資料の利用によって利用者等に何らかの損害が生じた場合にも、一切の責任を負うものではありません。
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商標権侵害の判断基準

  第一条  商標関連法執行の指導業務を強化し、法執行の基準を統一し、法執行の水準を高め、商標専用権の保護を強化するために、「中華人民共和国商標法」(以下商標法という)、「中華人民共和国商標法実施条例」(以下商標法実施条例という)及び関連する法律法規、部門規則に基づき、本基準を制定する。

  第二条  商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案の処理、調査・処分にあたり本基準を適用する。

  第三条  商標権侵害を構成するか否かを判断する場合、通常は、権利侵害の疑いのある行為が商標法の意味上の商標の使用を構成するか否かを判断する必要がある。

  商標の使用とは、商品又は役務の出所を識別するために、商標を商品、商品の包装、容器、役務の提供場所及び取引書類に用い、又は商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いる行為を指す。

  第四条  商標を商品、商品の包装、容器及び商品の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)直接貼付し、刻印し、焼印を押し若しくは織り込むなどの方法で商標を商品、商品の包装、容器、ラベルなどに付し、又は商品に付加する標識、製品説明書、パンフレット、価格表などに使用する。

  (二)商標を、商品販売契約、インボイス、証票、受取書、商品輸出入検査検疫証明書、通関書類などを含む商品の販売と関係のある取引書類に使用する。

  第五条  商標を役務の提供場所及び役務の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)案内小冊子、従業員の服飾、ポスター、メニュー、価格表、名刺、抽選券、文房具、便箋及びその他役務提供の際に使用する関連物品を含め、商標を役務の提供場所に直接使用する。

  (二)商標を役務と関係のある文書資料、例えばインボイス、証票、受取書、送金伝票、役務契約書、修理保守証明書などに使用する。

  第六条  商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)商標を、ラジオ、テレビ、映画、インターネットなどの媒体で使用し、又は公開発行される出版物に使用し、又は屋外広告板、ダイレクトメール若しくはその他の広告媒体に使用する。

  (二)展示会、博覧会で提供する商標を使用した印刷物、展示ブースの写真、出展証明書及びその他の資料を含め、商標を展示会、博覧会で使用する。

  (三)商標をウェブサイト、インスタントメッセンジャー、SNSプラットフォーム、アプリケーションソフトなどの媒体で使用する。

  (四)商標を二次元コードなどの情報媒体で使用する。

  (五)商標を店舗の看板、店内の装飾・設えに使用する。

  第七条  商標の使用であるか否かを判断するにあたっては使用者の主観的意図、使用方法、宣伝方法、業界の慣行、消費者の認知などの要素を総合的に考量しなければならない。

  第八条  商標登録者の許諾を得ていない状況には、許諾を得ていないこと又は許諾された商品若しくは役務の区分、期限、数量を逸脱していることなどが含まれる。

  第九条  同種類の商品とは、権利侵害の疑いのある者が実際に生産販売する商品の名称が他人の登録商標の指定商品の名称と同一の商品、又は、両者の商品名が異なるが機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種の商品だと認識するものを指す。

  同種類の役務とは、権利侵害の疑いのある者が実際に提供する役務の名称が他人の登録商標の指定役務の名称と同一の役務、又は、両者の役務の名称が異なるが役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種類の役務だと認識するものを指す。

  指定商品又は役務の名称とは、「類似の商品及び役務区分表」(以下区分表という)に列挙されている商品又は役務の名称及び区分表に列挙されていないが商標登録において受け入れる商品又は役務の名称を含め、国家知的財産権局が商標登録業務において商品又は役務につき使用する名称を指す。

  第十条  類似の商品とは、機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で一定の共通性を有する商品を指す。

  類似の役務とは、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で一定の共通性を有する役務を指す。

  第十一条  同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標の指定商品又は役務と権利侵害の疑いのある商品又は役務との間で対比を行わなければならない。

  第十二条  権利侵害の疑いのある商品又は役務と他人の登録商標の指定商品又は役務が同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかの判断にあたっては、現行の区分表を参照して認定する。

  区分表に網羅されていない商品については、関連公衆の一般的認識を踏まえ、商品の機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の商品であるかを認定しなければならない。

  区分表に網羅されていない役務については、関連公衆的の一般的認識を踏まえ、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の役務であるかを認定しなければならない。

  第十三条  登録商標と同一の商標とは、権利侵害の疑いのある商標が他人の登録商標と完全に同一であるもの、及び異なっているが視覚効果又は音商標の聴覚認識上ほぼ違いがなく、関連公衆による識別が困難な商標を指す。

  第十四条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標との比較において、登録商標と同一であると認定することができる状況には以下のものが含まれる。

  (一)文字商標が以下に掲げるいずれかに該当する場合。

  1.文字の構成、配列順がすべて同じであるとき。

  2.登録商標の書体、アルファベットの大文字・小文字、文字の縦横の配列を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  3.登録商標における文字、アルファベット、数字などの間の間隔を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  4.登録商標の色彩を変更したものであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  5.登録商標に商品の一般的な名称、図形、型式など、顕著な特徴を欠く内容を加えただけであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  (二)図形商標において、構図の要素、表現形式など視覚上、ほぼ違いがない場合。

  (三)文字・図形の結合商標における文字の構成、図形の外観及びその配列・組合せ方法が同じであり、全体的な視覚上商標にほぼ違いがない場合。

  (四)立体商標における顕著な三次元標識及び顕著な平面要素が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (五)色彩の結合商標において組み合わせた色彩及び配列の方法が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (六)音商標の聴覚認識及び全体的な音楽的イメージが同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (七)その他視覚効果又は聴覚認識上登録商標とほぼ違いがない場合。

  第十五条  登録商標の類似商標とは、権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標を比較して、文字商標の字形、称呼、意味が近似しており、又は図形商標の構図、色、外形が近似しており、又は文字・図形の結合商標における全体的な配列・組合せ方法及び外形が近似しており、又は立体商標の三次元標識の形状及び外形が近似しており、又は色彩の結合商標における色彩又は組合せが近似しており、又は音商標の聴覚認識若しくは全体的な音楽的イメージが近似しているものなどを指す。

  第十六条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標が類似を構成するか否かについては、現行の「商標審査及び審理基準」における商標の類似についての規定を参照して判断する。

  第十七条  商標が同一又は類似であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標と権利侵害の疑いのある商標との間で対比を行わなければならない。

  第十八条  登録商標と同一又は類似の商標の判断に際しては、関連公衆の一般的な注意力及び認知能力を基準とし、隔離的観察、全体対比及び要部対比の方法により認定しなければならない。

  第十九条  商標権侵害の判断において、同種類の商品若しくは同種類の役務につき類似商標を使用し、又は類似の商品若しくは類似の役務につき同一・類似商標を使用している場合は、混同を生じさせやすいか否かについても判断しなければならない。

  第二十条  商標法に規定する混同を生じさせやすい状況には次のものが含まれる。

  (一)関連公衆をして係争商品又は役務は登録商標の権利者が生産又は提供していると認識させるに足りる。

  (二)関連公衆をして係争商品又は役務の提供者と登録商標の権利者には出資、許諾、フランチャイズ又は提携などの関係が存在すると認識させるに足りる。

  第二十一条  商標関連法執行の関係部門は、混同を生じさせやすいか否かを判断するにあたり、以下の要素及び各要素間の相互の影響を総合的に考量しなければならない。

  (一)商標の近似状況。

  (二)商品又は役務の類似情况。

  (三)登録商標の顕著性及び知名度。

  (四)商品又は役務の特色及び商標使用の方法。

  (五)関連公衆の注意及び認知のレベル。

  (六)その他の関連要素。

  第二十二条  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の商品又は役務における他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十三条  同種類の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  同種類の又は類似の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十四条  色彩を指定しない登録商標については、自由に色彩を付すことができるが、他人の登録商標の知名度に便乗することを目的として色彩を付し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標と近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標の知名度が比較的高く、権利侵害の疑いのある者と登録商標の権利者が同じ業種又は関連性の比較的高い業種にあり、かつ、登録商標と同一又は類似のマークを正当な理由なく使用した場合、権利侵害の疑いのある者に他人の登録商標の知名度に便乗する企図があると認定しなければならない。

  第二十五条  完全請負の加工請負の営業活動において、請負人が登録商標の専用権を侵害する商品を使用した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十六条  事業者が商品の販売時に、登録商標の専用権を侵害する商品を販売商品に添えて進呈した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十七条  以下に掲げるいずれかの事由がある場合、商標法第六十条第二項に規定する「登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売した」ケースに該当しない。

  (一)商品仕入れルートが商慣行に合致せず、また、価格が市場価格を明らかに下回る場合。

  (二)帳簿、販売記録などの会計証憑の提供を拒否し、又は会計証憑を粉飾した場合。

  (三)事案発生後に物証を移転・破棄し、又は虚偽の証明書、虚偽の状況を提供した場合。

  (四)法律違反により処分を受けた後、再び同じような状況の法律違反を犯した場合。

  (五)その他、当事者は知っていた又は知るべきであったと認定することができる場合。

  第二十八条  商標法第六十条第二項に規定する「提供者について説明した」とは、権利侵害の疑いのある者がサプライヤーの名称、営業住所、連絡方法などの正確な情報又は手掛かりを自発的に提供することを指す。

  権利侵害の疑いのある者が虚偽の又は事実確認ができない情報を提供したため提供者を見つけることができない場合、「提供者について説明した」とはみなさない。

  第二十九条  権利侵害の疑いのある者が、商標法第六十条第二項に規定する登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売したケースに該当する場合、その権利侵害品について販売停止を命じ、サプライヤーに対し立件、調査・処分を行い、又は事案の情報を管轄権を有する商標関連法執行の関係部門に移送して調査・処分させる。

  販売停止を命じた権利侵害品を権利侵害者が再び販売した場合は、法に基づき調査した上で処分する。

  第三十条  市場の運営者、展示会の主催者、インショップの貸主、電子商取引プラットフォームなどの事業者が管理の職責の履行を怠り、市場における事業者、出展者、テナント、プラットフォーム内の電子商取引事業者が商標権侵害行為を実施したことを知りながら若しくは知るべきであったにもかかわらず制止しなかった場合、又は知らなかったが、商標関連法執行の関係部門が通知した後、若しくは商標の権利者が発効した行政文書、司法文書によって告知した後も、商標権侵害行為を制止するための必要な措置を講じなかった場合、商標法第五十七条第六号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十一条  他人の登録商標と同一又は近似する文字をドメイン名として登録し、かつ、当該ドメイン名により関連商品又は役務の取引を行う電子商取引は、容易に関連公衆を誤認せしめる場合、商標法第五十七条第七号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十二条  商標権侵害事案の調査・処分にあたっては、適法な先行の権利を保護しなければならない。

  意匠権、著作物の著作権により他人の登録商標専用権について抗弁する場合において、登録商標の出願日が意匠出願日又は証拠により証明される当該著作権の著作物の創作完了日より先であるとき、商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案に対し調査・処分を行うことができる。

  第三十三条  商標法第五十九条第三項に規定する「一定の影響を有する商標」とは、国内で先行使用され一定の範囲内において関連公衆に知られている未登録商標を指す。

  一定の影響を有する商標の認定においては、当該商標の使用継続期間、販売量、取扱高、広告宣伝などの要素を考量して総合的に判断しなければならない。

  使用者に以下に掲げる事由がある場合、当初の使用範囲における使用継続とはみなさない。

  (一)当該商標を使用する具体的な商品又は役務の追加。

  (二)当該商標の図形、文字、色彩、構造、記入方法などの内容の変更。ただし、他人の登録商標と区別する目的で行う変更は除く。

  (三)当初の使用範囲を逸脱するその他の事由。

  第三十四条  商標法第六十条第二項に規定する「商標権侵害行為を五年以内に二回以上実施した」とは、同じ当事者が商標関連法執行の関係部門、人民法院により他人の登録商標の専用権を侵害したと認定された行政処罰又は判決が発効した日から五年以内に、また商標権侵害行為を実施したことを指す。

  第三十五条  国家知的財産権局で審理中又は人民法院で訴訟中の以下に掲げる事案については、商標法第六十二条第三項の「中断」に関する規定を適用することができる。

  (一)登録商標が無効審判中である場合。

  (二)登録商標が、更新申請手続の期間中であったり、存続期間満了後の更新申請手続の猶予期間中である場合。

  (三)登録商標の権利帰属についてその他の紛争が存在する場合。

  第三十六条  商標権侵害事案の調査・処分の過程において、商標関連法執行の関係部門は権利者に対し、係争商品は権利者が生産した又は権利者が生産を許諾した商品であるか否かについて書面による弁別意見を出すよう要求することができる。権利者はその弁別意見につき相応の法的責任を負わなければならない。

  商標関連法執行の関係部門は弁別人の弁別意見を出す主体資格及び弁別意見の真実性について審査しなければならない。権利侵害の疑いのある者が当該弁別意見を覆す反対証拠を有しない場合、商標関連法執行の関係部門は当該弁別意見を証拠として採用する。

  第三十七条  本基準については国家知的財産権局が解釈を担当する。

  第三十八条  本基準は公布日より施行する。


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北京市聯力法律事務所は、和訳の正確性について努めておりますが、当和訳資料の利用によって利用者等に何らかの損害が生じた場合にも、一切の責任を負うものではありません。
適宜、中国語の原文を参照していただくようお願いします。

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北京市聯力法律事務所 TEL:86-010-62513263

商標権侵害の判断基準

  第一条  商標関連法執行の指導業務を強化し、法執行の基準を統一し、法執行の水準を高め、商標専用権の保護を強化するために、「中華人民共和国商標法」(以下商標法という)、「中華人民共和国商標法実施条例」(以下商標法実施条例という)及び関連する法律法規、部門規則に基づき、本基準を制定する。

  第二条  商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案の処理、調査・処分にあたり本基準を適用する。

  第三条  商標権侵害を構成するか否かを判断する場合、通常は、権利侵害の疑いのある行為が商標法の意味上の商標の使用を構成するか否かを判断する必要がある。

  商標の使用とは、商品又は役務の出所を識別するために、商標を商品、商品の包装、容器、役務の提供場所及び取引書類に用い、又は商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いる行為を指す。

  第四条  商標を商品、商品の包装、容器及び商品の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)直接貼付し、刻印し、焼印を押し若しくは織り込むなどの方法で商標を商品、商品の包装、容器、ラベルなどに付し、又は商品に付加する標識、製品説明書、パンフレット、価格表などに使用する。

  (二)商標を、商品販売契約、インボイス、証票、受取書、商品輸出入検査検疫証明書、通関書類などを含む商品の販売と関係のある取引書類に使用する。

  第五条  商標を役務の提供場所及び役務の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)案内小冊子、従業員の服飾、ポスター、メニュー、価格表、名刺、抽選券、文房具、便箋及びその他役務提供の際に使用する関連物品を含め、商標を役務の提供場所に直接使用する。

  (二)商標を役務と関係のある文書資料、例えばインボイス、証票、受取書、送金伝票、役務契約書、修理保守証明書などに使用する。

  第六条  商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)商標を、ラジオ、テレビ、映画、インターネットなどの媒体で使用し、又は公開発行される出版物に使用し、又は屋外広告板、ダイレクトメール若しくはその他の広告媒体に使用する。

  (二)展示会、博覧会で提供する商標を使用した印刷物、展示ブースの写真、出展証明書及びその他の資料を含め、商標を展示会、博覧会で使用する。

  (三)商標をウェブサイト、インスタントメッセンジャー、SNSプラットフォーム、アプリケーションソフトなどの媒体で使用する。

  (四)商標を二次元コードなどの情報媒体で使用する。

  (五)商標を店舗の看板、店内の装飾・設えに使用する。

  第七条  商標の使用であるか否かを判断するにあたっては使用者の主観的意図、使用方法、宣伝方法、業界の慣行、消費者の認知などの要素を総合的に考量しなければならない。

  第八条  商標登録者の許諾を得ていない状況には、許諾を得ていないこと又は許諾された商品若しくは役務の区分、期限、数量を逸脱していることなどが含まれる。

  第九条  同種類の商品とは、権利侵害の疑いのある者が実際に生産販売する商品の名称が他人の登録商標の指定商品の名称と同一の商品、又は、両者の商品名が異なるが機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種の商品だと認識するものを指す。

  同種類の役務とは、権利侵害の疑いのある者が実際に提供する役務の名称が他人の登録商標の指定役務の名称と同一の役務、又は、両者の役務の名称が異なるが役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種類の役務だと認識するものを指す。

  指定商品又は役務の名称とは、「類似の商品及び役務区分表」(以下区分表という)に列挙されている商品又は役務の名称及び区分表に列挙されていないが商標登録において受け入れる商品又は役務の名称を含め、国家知的財産権局が商標登録業務において商品又は役務につき使用する名称を指す。

  第十条  類似の商品とは、機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で一定の共通性を有する商品を指す。

  類似の役務とは、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で一定の共通性を有する役務を指す。

  第十一条  同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標の指定商品又は役務と権利侵害の疑いのある商品又は役務との間で対比を行わなければならない。

  第十二条  権利侵害の疑いのある商品又は役務と他人の登録商標の指定商品又は役務が同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかの判断にあたっては、現行の区分表を参照して認定する。

  区分表に網羅されていない商品については、関連公衆の一般的認識を踏まえ、商品の機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の商品であるかを認定しなければならない。

  区分表に網羅されていない役務については、関連公衆的の一般的認識を踏まえ、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の役務であるかを認定しなければならない。

  第十三条  登録商標と同一の商標とは、権利侵害の疑いのある商標が他人の登録商標と完全に同一であるもの、及び異なっているが視覚効果又は音商標の聴覚認識上ほぼ違いがなく、関連公衆による識別が困難な商標を指す。

  第十四条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標との比較において、登録商標と同一であると認定することができる状況には以下のものが含まれる。

  (一)文字商標が以下に掲げるいずれかに該当する場合。

  1.文字の構成、配列順がすべて同じであるとき。

  2.登録商標の書体、アルファベットの大文字・小文字、文字の縦横の配列を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  3.登録商標における文字、アルファベット、数字などの間の間隔を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  4.登録商標の色彩を変更したものであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  5.登録商標に商品の一般的な名称、図形、型式など、顕著な特徴を欠く内容を加えただけであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  (二)図形商標において、構図の要素、表現形式など視覚上、ほぼ違いがない場合。

  (三)文字・図形の結合商標における文字の構成、図形の外観及びその配列・組合せ方法が同じであり、全体的な視覚上商標にほぼ違いがない場合。

  (四)立体商標における顕著な三次元標識及び顕著な平面要素が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (五)色彩の結合商標において組み合わせた色彩及び配列の方法が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (六)音商標の聴覚認識及び全体的な音楽的イメージが同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (七)その他視覚効果又は聴覚認識上登録商標とほぼ違いがない場合。

  第十五条  登録商標の類似商標とは、権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標を比較して、文字商標の字形、称呼、意味が近似しており、又は図形商標の構図、色、外形が近似しており、又は文字・図形の結合商標における全体的な配列・組合せ方法及び外形が近似しており、又は立体商標の三次元標識の形状及び外形が近似しており、又は色彩の結合商標における色彩又は組合せが近似しており、又は音商標の聴覚認識若しくは全体的な音楽的イメージが近似しているものなどを指す。

  第十六条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標が類似を構成するか否かについては、現行の「商標審査及び審理基準」における商標の類似についての規定を参照して判断する。

  第十七条  商標が同一又は類似であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標と権利侵害の疑いのある商標との間で対比を行わなければならない。

  第十八条  登録商標と同一又は類似の商標の判断に際しては、関連公衆の一般的な注意力及び認知能力を基準とし、隔離的観察、全体対比及び要部対比の方法により認定しなければならない。

  第十九条  商標権侵害の判断において、同種類の商品若しくは同種類の役務につき類似商標を使用し、又は類似の商品若しくは類似の役務につき同一・類似商標を使用している場合は、混同を生じさせやすいか否かについても判断しなければならない。

  第二十条  商標法に規定する混同を生じさせやすい状況には次のものが含まれる。

  (一)関連公衆をして係争商品又は役務は登録商標の権利者が生産又は提供していると認識させるに足りる。

  (二)関連公衆をして係争商品又は役務の提供者と登録商標の権利者には出資、許諾、フランチャイズ又は提携などの関係が存在すると認識させるに足りる。

  第二十一条  商標関連法執行の関係部門は、混同を生じさせやすいか否かを判断するにあたり、以下の要素及び各要素間の相互の影響を総合的に考量しなければならない。

  (一)商標の近似状況。

  (二)商品又は役務の類似情况。

  (三)登録商標の顕著性及び知名度。

  (四)商品又は役務の特色及び商標使用の方法。

  (五)関連公衆の注意及び認知のレベル。

  (六)その他の関連要素。

  第二十二条  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の商品又は役務における他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十三条  同種類の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  同種類の又は類似の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十四条  色彩を指定しない登録商標については、自由に色彩を付すことができるが、他人の登録商標の知名度に便乗することを目的として色彩を付し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標と近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標の知名度が比較的高く、権利侵害の疑いのある者と登録商標の権利者が同じ業種又は関連性の比較的高い業種にあり、かつ、登録商標と同一又は類似のマークを正当な理由なく使用した場合、権利侵害の疑いのある者に他人の登録商標の知名度に便乗する企図があると認定しなければならない。

  第二十五条  完全請負の加工請負の営業活動において、請負人が登録商標の専用権を侵害する商品を使用した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十六条  事業者が商品の販売時に、登録商標の専用権を侵害する商品を販売商品に添えて進呈した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十七条  以下に掲げるいずれかの事由がある場合、商標法第六十条第二項に規定する「登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売した」ケースに該当しない。

  (一)商品仕入れルートが商慣行に合致せず、また、価格が市場価格を明らかに下回る場合。

  (二)帳簿、販売記録などの会計証憑の提供を拒否し、又は会計証憑を粉飾した場合。

  (三)事案発生後に物証を移転・破棄し、又は虚偽の証明書、虚偽の状況を提供した場合。

  (四)法律違反により処分を受けた後、再び同じような状況の法律違反を犯した場合。

  (五)その他、当事者は知っていた又は知るべきであったと認定することができる場合。

  第二十八条  商標法第六十条第二項に規定する「提供者について説明した」とは、権利侵害の疑いのある者がサプライヤーの名称、営業住所、連絡方法などの正確な情報又は手掛かりを自発的に提供することを指す。

  権利侵害の疑いのある者が虚偽の又は事実確認ができない情報を提供したため提供者を見つけることができない場合、「提供者について説明した」とはみなさない。

  第二十九条  権利侵害の疑いのある者が、商標法第六十条第二項に規定する登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売したケースに該当する場合、その権利侵害品について販売停止を命じ、サプライヤーに対し立件、調査・処分を行い、又は事案の情報を管轄権を有する商標関連法執行の関係部門に移送して調査・処分させる。

  販売停止を命じた権利侵害品を権利侵害者が再び販売した場合は、法に基づき調査した上で処分する。

  第三十条  市場の運営者、展示会の主催者、インショップの貸主、電子商取引プラットフォームなどの事業者が管理の職責の履行を怠り、市場における事業者、出展者、テナント、プラットフォーム内の電子商取引事業者が商標権侵害行為を実施したことを知りながら若しくは知るべきであったにもかかわらず制止しなかった場合、又は知らなかったが、商標関連法執行の関係部門が通知した後、若しくは商標の権利者が発効した行政文書、司法文書によって告知した後も、商標権侵害行為を制止するための必要な措置を講じなかった場合、商標法第五十七条第六号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十一条  他人の登録商標と同一又は近似する文字をドメイン名として登録し、かつ、当該ドメイン名により関連商品又は役務の取引を行う電子商取引は、容易に関連公衆を誤認せしめる場合、商標法第五十七条第七号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十二条  商標権侵害事案の調査・処分にあたっては、適法な先行の権利を保護しなければならない。

  意匠権、著作物の著作権により他人の登録商標専用権について抗弁する場合において、登録商標の出願日が意匠出願日又は証拠により証明される当該著作権の著作物の創作完了日より先であるとき、商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案に対し調査・処分を行うことができる。

  第三十三条  商標法第五十九条第三項に規定する「一定の影響を有する商標」とは、国内で先行使用され一定の範囲内において関連公衆に知られている未登録商標を指す。

  一定の影響を有する商標の認定においては、当該商標の使用継続期間、販売量、取扱高、広告宣伝などの要素を考量して総合的に判断しなければならない。

  使用者に以下に掲げる事由がある場合、当初の使用範囲における使用継続とはみなさない。

  (一)当該商標を使用する具体的な商品又は役務の追加。

  (二)当該商標の図形、文字、色彩、構造、記入方法などの内容の変更。ただし、他人の登録商標と区別する目的で行う変更は除く。

  (三)当初の使用範囲を逸脱するその他の事由。

  第三十四条  商標法第六十条第二項に規定する「商標権侵害行為を五年以内に二回以上実施した」とは、同じ当事者が商標関連法執行の関係部門、人民法院により他人の登録商標の専用権を侵害したと認定された行政処罰又は判決が発効した日から五年以内に、また商標権侵害行為を実施したことを指す。

  第三十五条  国家知的財産権局で審理中又は人民法院で訴訟中の以下に掲げる事案については、商標法第六十二条第三項の「中断」に関する規定を適用することができる。

  (一)登録商標が無効審判中である場合。

  (二)登録商標が、更新申請手続の期間中であったり、存続期間満了後の更新申請手続の猶予期間中である場合。

  (三)登録商標の権利帰属についてその他の紛争が存在する場合。

  第三十六条  商標権侵害事案の調査・処分の過程において、商標関連法執行の関係部門は権利者に対し、係争商品は権利者が生産した又は権利者が生産を許諾した商品であるか否かについて書面による弁別意見を出すよう要求することができる。権利者はその弁別意見につき相応の法的責任を負わなければならない。

  商標関連法執行の関係部門は弁別人の弁別意見を出す主体資格及び弁別意見の真実性について審査しなければならない。権利侵害の疑いのある者が当該弁別意見を覆す反対証拠を有しない場合、商標関連法執行の関係部門は当該弁別意見を証拠として採用する。

  第三十七条  本基準については国家知的財産権局が解釈を担当する。

  第三十八条  本基準は公布日より施行する。


「※当和訳資料は、北京市聯力法律事務所が中国語の法令を和訳したものです。
北京市聯力法律事務所は、和訳の正確性について努めておりますが、当和訳資料の利用によって利用者等に何らかの損害が生じた場合にも、一切の責任を負うものではありません。
適宜、中国語の原文を参照していただくようお願いします。

個別具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は下記までご相談ください。
北京市聯力法律事務所 TEL:86-010-62513263

商標権侵害の判断基準

  第一条  商標関連法執行の指導業務を強化し、法執行の基準を統一し、法執行の水準を高め、商標専用権の保護を強化するために、「中華人民共和国商標法」(以下商標法という)、「中華人民共和国商標法実施条例」(以下商標法実施条例という)及び関連する法律法規、部門規則に基づき、本基準を制定する。

  第二条  商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案の処理、調査・処分にあたり本基準を適用する。

  第三条  商標権侵害を構成するか否かを判断する場合、通常は、権利侵害の疑いのある行為が商標法の意味上の商標の使用を構成するか否かを判断する必要がある。

  商標の使用とは、商品又は役務の出所を識別するために、商標を商品、商品の包装、容器、役務の提供場所及び取引書類に用い、又は商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いる行為を指す。

  第四条  商標を商品、商品の包装、容器及び商品の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)直接貼付し、刻印し、焼印を押し若しくは織り込むなどの方法で商標を商品、商品の包装、容器、ラベルなどに付し、又は商品に付加する標識、製品説明書、パンフレット、価格表などに使用する。

  (二)商標を、商品販売契約、インボイス、証票、受取書、商品輸出入検査検疫証明書、通関書類などを含む商品の販売と関係のある取引書類に使用する。

  第五条  商標を役務の提供場所及び役務の取引書類に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)案内小冊子、従業員の服飾、ポスター、メニュー、価格表、名刺、抽選券、文房具、便箋及びその他役務提供の際に使用する関連物品を含め、商標を役務の提供場所に直接使用する。

  (二)商標を役務と関係のある文書資料、例えばインボイス、証票、受取書、送金伝票、役務契約書、修理保守証明書などに使用する。

  第六条  商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いるときの具体的な表示形式には次のものが含まれるがこれらに限られない。

  (一)商標を、ラジオ、テレビ、映画、インターネットなどの媒体で使用し、又は公開発行される出版物に使用し、又は屋外広告板、ダイレクトメール若しくはその他の広告媒体に使用する。

  (二)展示会、博覧会で提供する商標を使用した印刷物、展示ブースの写真、出展証明書及びその他の資料を含め、商標を展示会、博覧会で使用する。

  (三)商標をウェブサイト、インスタントメッセンジャー、SNSプラットフォーム、アプリケーションソフトなどの媒体で使用する。

  (四)商標を二次元コードなどの情報媒体で使用する。

  (五)商標を店舗の看板、店内の装飾・設えに使用する。

  第七条  商標の使用であるか否かを判断するにあたっては使用者の主観的意図、使用方法、宣伝方法、業界の慣行、消費者の認知などの要素を総合的に考量しなければならない。

  第八条  商標登録者の許諾を得ていない状況には、許諾を得ていないこと又は許諾された商品若しくは役務の区分、期限、数量を逸脱していることなどが含まれる。

  第九条  同種類の商品とは、権利侵害の疑いのある者が実際に生産販売する商品の名称が他人の登録商標の指定商品の名称と同一の商品、又は、両者の商品名が異なるが機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種の商品だと認識するものを指す。

  同種類の役務とは、権利侵害の疑いのある者が実際に提供する役務の名称が他人の登録商標の指定役務の名称と同一の役務、又は、両者の役務の名称が異なるが役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で同一又はほぼ同一であり、関連公衆が通常同種類の役務だと認識するものを指す。

  指定商品又は役務の名称とは、「類似の商品及び役務区分表」(以下区分表という)に列挙されている商品又は役務の名称及び区分表に列挙されていないが商標登録において受け入れる商品又は役務の名称を含め、国家知的財産権局が商標登録業務において商品又は役務につき使用する名称を指す。

  第十条  類似の商品とは、機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの面で一定の共通性を有する商品を指す。

  類似の役務とは、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの面で一定の共通性を有する役務を指す。

  第十一条  同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標の指定商品又は役務と権利侵害の疑いのある商品又は役務との間で対比を行わなければならない。

  第十二条  権利侵害の疑いのある商品又は役務と他人の登録商標の指定商品又は役務が同種類の商品又は同種類の役務であるか、類似の商品又は類似の役務であるかの判断にあたっては、現行の区分表を参照して認定する。

  区分表に網羅されていない商品については、関連公衆の一般的認識を踏まえ、商品の機能、用途、主要原料、生産部門、消費対象、販売チャネルなどの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の商品であるかを認定しなければならない。

  区分表に網羅されていない役務については、関連公衆的の一般的認識を踏まえ、役務の提供目的、提供内容、提供方法、提供者、提供対象、提供場所などの要素を総合的に考量して同種類の又は類似の役務であるかを認定しなければならない。

  第十三条  登録商標と同一の商標とは、権利侵害の疑いのある商標が他人の登録商標と完全に同一であるもの、及び異なっているが視覚効果又は音商標の聴覚認識上ほぼ違いがなく、関連公衆による識別が困難な商標を指す。

  第十四条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標との比較において、登録商標と同一であると認定することができる状況には以下のものが含まれる。

  (一)文字商標が以下に掲げるいずれかに該当する場合。

  1.文字の構成、配列順がすべて同じであるとき。

  2.登録商標の書体、アルファベットの大文字・小文字、文字の縦横の配列を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  3.登録商標における文字、アルファベット、数字などの間の間隔を変更したものであり、登録商標との間にほぼ違いがないとき。

  4.登録商標の色彩を変更したものであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  5.登録商標に商品の一般的な名称、図形、型式など、顕著な特徴を欠く内容を加えただけであり、登録商標の顕著な特徴の具体的表現に影響しないとき。

  (二)図形商標において、構図の要素、表現形式など視覚上、ほぼ違いがない場合。

  (三)文字・図形の結合商標における文字の構成、図形の外観及びその配列・組合せ方法が同じであり、全体的な視覚上商標にほぼ違いがない場合。

  (四)立体商標における顕著な三次元標識及び顕著な平面要素が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (五)色彩の結合商標において組み合わせた色彩及び配列の方法が同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (六)音商標の聴覚認識及び全体的な音楽的イメージが同じであり、又はほぼ違いがない場合。

  (七)その他視覚効果又は聴覚認識上登録商標とほぼ違いがない場合。

  第十五条  登録商標の類似商標とは、権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標を比較して、文字商標の字形、称呼、意味が近似しており、又は図形商標の構図、色、外形が近似しており、又は文字・図形の結合商標における全体的な配列・組合せ方法及び外形が近似しており、又は立体商標の三次元標識の形状及び外形が近似しており、又は色彩の結合商標における色彩又は組合せが近似しており、又は音商標の聴覚認識若しくは全体的な音楽的イメージが近似しているものなどを指す。

  第十六条  権利侵害の疑いのある商標と他人の登録商標が類似を構成するか否かについては、現行の「商標審査及び審理基準」における商標の類似についての規定を参照して判断する。

  第十七条  商標が同一又は類似であるかを判断するにあたっては、権利者の登録商標と権利侵害の疑いのある商標との間で対比を行わなければならない。

  第十八条  登録商標と同一又は類似の商標の判断に際しては、関連公衆の一般的な注意力及び認知能力を基準とし、隔離的観察、全体対比及び要部対比の方法により認定しなければならない。

  第十九条  商標権侵害の判断において、同種類の商品若しくは同種類の役務につき類似商標を使用し、又は類似の商品若しくは類似の役務につき同一・類似商標を使用している場合は、混同を生じさせやすいか否かについても判断しなければならない。

  第二十条  商標法に規定する混同を生じさせやすい状況には次のものが含まれる。

  (一)関連公衆をして係争商品又は役務は登録商標の権利者が生産又は提供していると認識させるに足りる。

  (二)関連公衆をして係争商品又は役務の提供者と登録商標の権利者には出資、許諾、フランチャイズ又は提携などの関係が存在すると認識させるに足りる。

  第二十一条  商標関連法執行の関係部門は、混同を生じさせやすいか否かを判断するにあたり、以下の要素及び各要素間の相互の影響を総合的に考量しなければならない。

  (一)商標の近似状況。

  (二)商品又は役務の類似情况。

  (三)登録商標の顕著性及び知名度。

  (四)商品又は役務の特色及び商標使用の方法。

  (五)関連公衆の注意及び認知のレベル。

  (六)その他の関連要素。

  第二十二条  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の商品又は役務における他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標を自ら変更し又は複数の登録商標を組み合わせて使用し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十三条  同種類の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標と同じになる場合、商標法第五十七条第一号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  同種類の又は類似の商品又は役務につき、企業名における商号を際立たせて使用し、他人の登録商標に近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十四条  色彩を指定しない登録商標については、自由に色彩を付すことができるが、他人の登録商標の知名度に便乗することを目的として色彩を付し、同種類の又は類似の商品又は役務における他人の登録商標と近似し、混同を生じさせやすくなる場合、商標法第五十七条第二号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  登録商標の知名度が比較的高く、権利侵害の疑いのある者と登録商標の権利者が同じ業種又は関連性の比較的高い業種にあり、かつ、登録商標と同一又は類似のマークを正当な理由なく使用した場合、権利侵害の疑いのある者に他人の登録商標の知名度に便乗する企図があると認定しなければならない。

  第二十五条  完全請負の加工請負の営業活動において、請負人が登録商標の専用権を侵害する商品を使用した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十六条  事業者が商品の販売時に、登録商標の専用権を侵害する商品を販売商品に添えて進呈した場合、商標法第五十七条第三号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第二十七条  以下に掲げるいずれかの事由がある場合、商標法第六十条第二項に規定する「登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売した」ケースに該当しない。

  (一)商品仕入れルートが商慣行に合致せず、また、価格が市場価格を明らかに下回る場合。

  (二)帳簿、販売記録などの会計証憑の提供を拒否し、又は会計証憑を粉飾した場合。

  (三)事案発生後に物証を移転・破棄し、又は虚偽の証明書、虚偽の状況を提供した場合。

  (四)法律違反により処分を受けた後、再び同じような状況の法律違反を犯した場合。

  (五)その他、当事者は知っていた又は知るべきであったと認定することができる場合。

  第二十八条  商標法第六十条第二項に規定する「提供者について説明した」とは、権利侵害の疑いのある者がサプライヤーの名称、営業住所、連絡方法などの正確な情報又は手掛かりを自発的に提供することを指す。

  権利侵害の疑いのある者が虚偽の又は事実確認ができない情報を提供したため提供者を見つけることができない場合、「提供者について説明した」とはみなさない。

  第二十九条  権利侵害の疑いのある者が、商標法第六十条第二項に規定する登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売したケースに該当する場合、その権利侵害品について販売停止を命じ、サプライヤーに対し立件、調査・処分を行い、又は事案の情報を管轄権を有する商標関連法執行の関係部門に移送して調査・処分させる。

  販売停止を命じた権利侵害品を権利侵害者が再び販売した場合は、法に基づき調査した上で処分する。

  第三十条  市場の運営者、展示会の主催者、インショップの貸主、電子商取引プラットフォームなどの事業者が管理の職責の履行を怠り、市場における事業者、出展者、テナント、プラットフォーム内の電子商取引事業者が商標権侵害行為を実施したことを知りながら若しくは知るべきであったにもかかわらず制止しなかった場合、又は知らなかったが、商標関連法執行の関係部門が通知した後、若しくは商標の権利者が発効した行政文書、司法文書によって告知した後も、商標権侵害行為を制止するための必要な措置を講じなかった場合、商標法第五十七条第六号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十一条  他人の登録商標と同一又は近似する文字をドメイン名として登録し、かつ、当該ドメイン名により関連商品又は役務の取引を行う電子商取引は、容易に関連公衆を誤認せしめる場合、商標法第五十七条第七号に規定する商標権侵害行為に該当する。

  第三十二条  商標権侵害事案の調査・処分にあたっては、適法な先行の権利を保護しなければならない。

  意匠権、著作物の著作権により他人の登録商標専用権について抗弁する場合において、登録商標の出願日が意匠出願日又は証拠により証明される当該著作権の著作物の創作完了日より先であるとき、商標関連法執行の関係部門は、商標権侵害事案に対し調査・処分を行うことができる。

  第三十三条  商標法第五十九条第三項に規定する「一定の影響を有する商標」とは、国内で先行使用され一定の範囲内において関連公衆に知られている未登録商標を指す。

  一定の影響を有する商標の認定においては、当該商標の使用継続期間、販売量、取扱高、広告宣伝などの要素を考量して総合的に判断しなければならない。

  使用者に以下に掲げる事由がある場合、当初の使用範囲における使用継続とはみなさない。

  (一)当該商標を使用する具体的な商品又は役務の追加。

  (二)当該商標の図形、文字、色彩、構造、記入方法などの内容の変更。ただし、他人の登録商標と区別する目的で行う変更は除く。

  (三)当初の使用範囲を逸脱するその他の事由。

  第三十四条  商標法第六十条第二項に規定する「商標権侵害行為を五年以内に二回以上実施した」とは、同じ当事者が商標関連法執行の関係部門、人民法院により他人の登録商標の専用権を侵害したと認定された行政処罰又は判決が発効した日から五年以内に、また商標権侵害行為を実施したことを指す。

  第三十五条  国家知的財産権局で審理中又は人民法院で訴訟中の以下に掲げる事案については、商標法第六十二条第三項の「中断」に関する規定を適用することができる。

  (一)登録商標が無効審判中である場合。

  (二)登録商標が、更新申請手続の期間中であったり、存続期間満了後の更新申請手続の猶予期間中である場合。

  (三)登録商標の権利帰属についてその他の紛争が存在する場合。

  第三十六条  商標権侵害事案の調査・処分の過程において、商標関連法執行の関係部門は権利者に対し、係争商品は権利者が生産した又は権利者が生産を許諾した商品であるか否かについて書面による弁別意見を出すよう要求することができる。権利者はその弁別意見につき相応の法的責任を負わなければならない。

  商標関連法執行の関係部門は弁別人の弁別意見を出す主体資格及び弁別意見の真実性について審査しなければならない。権利侵害の疑いのある者が当該弁別意見を覆す反対証拠を有しない場合、商標関連法執行の関係部門は当該弁別意見を証拠として採用する。

  第三十七条  本基準については国家知的財産権局が解釈を担当する。

  第三十八条  本基準は公布日より施行する。


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